リコは雨は好きですか?私は好きです。例えば雨の日、窓辺に座って地面が濡れていくのを眺めている。しと、しと、と雫の音。今日は仕事を止めて、中でゆっくり休んでおいで。そう、神様がみんなに告げる知らせが雨なのです。小学校のころの私にとって、雨はそんな意味を持っていたのです(もちろん、雨だからといって学校を休んだりはしませんでしたが、雨の日の休憩時間、鉄棒に連なる雫、壁をはうカタツムリ、みんなの来ている黄色い雨ガッパは、私のお気に入りの風景でした)。
でも近頃、雨が嫌いになりつつあるかも知れないのです。それは主に、災害に関係しています。ここ数年だけでも、雨による水害そして山の崩れが幾度となく起こりました。そして悲しいことに、雨は人を殺しました。残された遺族の方にとって、雨嵐は忌まわしい記憶を呼び起こすものでしかないのかも知れません。この異常気象の原因は、おそらく人間にあるはずなのに、私たちは雨を敵と見做さなければならないところまで来ています。そしてその流れは、将来もっと強く。
小さなころ、夢のような時間を与えてくれた雨のことを、好きになってほしい。これが私の気持ちです。でもそのためには、これからますます強まっていくであろう嵐の被害に対して、ますます十全な災害対策を施していかなければならない。それが困難なことは分かります。リコ。私たちは不思議に悲しい時代に生まれたのです。
マコ