リコ。あんまり秋の空が澄み切っているものだから、リコ、私はあなたのことを思い出します。天高くたなびく雲。リコはそこにいるの?
この時期の夕暮れ、妙に明るいなと思ってふと頭を上げると、窓の外は真赤(または橙)に染まり、その色づきがカフェの中にまで入り込んでいることがあります。そこでは夕焼けの絵筆がもの全体を撫で過ぎたように、青、緑、きいろ、全ての色の中に赤が混じり込むのです。壁際に這った濃い緑のアイビーも、どこか朱色がかって見える。
こんなとき、心の中で私は泣きたいような気持になります。太陽は誰をも見捨てないということが、夕焼けが色づけないものはない、ということから分かってくるからです。私たちはいつも、太陽にまもられている。栄養をもらったり、元気をもらったり。その太陽は優しく、全てのものを赤く照らすのです。まるで全世界が自分の子どもたちであるかのように。
マコ