光があるっていうことは、その下に人がいるということ。夜が、世の中の様々なものを覆い隠して、純粋に光だけの世界になる。光だけの世界になれば、それだけ人の気配というものが、色濃く映えてくるのです。だから、夜景をみると安心します。まるで、真っ暗闇の海の中で、灯台を見つけたときのように。この街には今日も、たくさんの人が暮らしているんだ。そうしてそれぞれのペースで、自分自身の生活を前に進めている。
大海原の灯台のような光の群れを見ているうちに、やがてそれは何か水中の生き物のような、大きな一つの生命体となって、一定のリズムで動き出すのです。それは人間という種のリズム。パッヘルベルの『カノン』を聞いているように、全身の生命が呼び覚まされるような、正直で前向きなリズムなのです。このリズムのもとに、私たちは前へ、歩き続けなければならないと思う。
夜景を見ると、いつだってそのように感じるのです。
じゃあ、また。
マコ