2017年10月24日

街と灯台

リコ。家へ帰る湖畔の道からは、中心街の広がりが見渡せます。最近では、帰る時刻にはとっぷりと日が暮れていて、水うみの上に、赤い光、青、みどり、きいろ、色とりどりの光が、水面を境に上下対称に映って見えるのです。私はこの光が好きです。

光があるっていうことは、その下に人がいるということ。夜が、世の中の様々なものを覆い隠して、純粋に光だけの世界になる。光だけの世界になれば、それだけ人の気配というものが、色濃く映えてくるのです。だから、夜景をみると安心します。まるで、真っ暗闇の海の中で、灯台を見つけたときのように。この街には今日も、たくさんの人が暮らしているんだ。そうしてそれぞれのペースで、自分自身の生活を前に進めている。

大海原の灯台のような光の群れを見ているうちに、やがてそれは何か水中の生き物のような、大きな一つの生命体となって、一定のリズムで動き出すのです。それは人間という種のリズム。パッヘルベルの『カノン』を聞いているように、全身の生命が呼び覚まされるような、正直で前向きなリズムなのです。このリズムのもとに、私たちは前へ、歩き続けなければならないと思う。

夜景を見ると、いつだってそのように感じるのです。

じゃあ、また。

マコ