今日、カフェの仕事が終わると大急ぎでその陶芸家さんのお宅へ向かいました。以前、とあるカフェで知り合いになった友だちが、「登り窯で焼くピザの会」に誘ってくれたのです。一緒に焼いたら美味しいかなと思って、チョリソーをお土産に、山道を延々と上りました。もの凄い場所へとナビが私を誘い、ナビへの信頼がほとんど消えそうになったその時、説明されたお宅が見えました。それは、暗闇の中の灯台のように、「帰っていい場所」を私に指し示してくれているように輝いていました。
一枚目のピザはもう焼けていて、他の皆で食べたということでした。しかし、二枚目のピザがすぐにあがると言います。そういえば、外の方から、小麦の焦げるにおい、トマトソースのにおい、そんないいにおいが漂ってきます。私たちは窯の入口まで行って、様子を見に行きました。しっかりと熱をもった窯の窓の奥に、今にも出来上がりそうなピザが見えました。先生(陶芸家さんのことです)は、平らなシャベルのような道具でピザを掬いとり、出来栄えを観察したあと、「無言の勝利宣言」をしたのです。
薄く延びた生地はカリカリに焼けて、トマト、ベーコン、ナスが生地の上でちょうどよく混ざり合っています。先生は庭に生えたバジルを指さし、私たちはそれを摘んでピザの上へ振りかけました。これで、出来上がりです。
さっそくテーブルに運ばれたピザは、八等分にされました。みんなでいただきますを言って、その一つをとって見ると、石の中で温められた芯のある熱量が、指の先から伝わってきます。ピザを、湯気と、そのいいにおいと一緒に食べてみると、なんだか大地に感謝したい気がしました。トマトにも、ナスにも、ベーコンにも、小麦にも。そしてそれを育ててくれた大地に、ありがとう。
作り手が見えるものづくりって、すごく大事だと思います。生地が延ばされ、具材がトッピングされて、窯の中へ入れられる。私が感じた窯の熱そのままが、ピザの熟成を助けている。そして、すべての工程の背後には、今日、このおいしさを作ってくれた大地がある。たった一枚のピザだけで、人をこんなに幸せにしてくれる先生は凄い!と私は思ったのです。
じゃあ、また。
マコ