コーヒーカップをかまくらのように身体でおおって飲む人、スマホカメラのシャッターボタンを押すように飲む人、コーヒーのあったかいところをお腹にあてて、深呼吸するようにゆっくり飲む人。
コーヒーの飲み方を見ていると、何か、その人とコーヒーの関係が見えてくるような気がします。言い換えれば、その人がコーヒーに何を求めているのか。例えば深呼吸をするように飲む人。ゆっくりコーヒーを飲むから、コーヒーが体中を巡っていくように見えます。そしてその人は宙に漂う光の結晶を追いかけている。育ちのよい植物が、土と、水から栄養をたくさん取り入れるように、彼女はコーヒーと音楽、それにカフェの空気の中から、元気になる養分を取り入れる。
そんな風にしてコーヒーを飲んでもらうことが出来るのも、バリスタ冥利のひとつ、という訳です。
話は少し変わりますが、今度の水曜日、トモコさんと夕日を見に行こうと思います。リコも知っているとおり、この街の水うみに沈む夕日は、大変有名でこの国の中でも有数の美しさを誇るのだそうです。私たちのカフェには、観光客もよくきて頂きます。そこでこの国でも有数の美しさを誇るというその夕日をあらためて見てみようという提案がもちあがったのです。定休日のカフェに二人で集まって、ドリップしたコーヒーをタンブラーに入れてもっていこうと思います。自然に囲まれて、コーヒーを飲むというのもひとつの方法。きっと、大きな夕日を前にして飲むコーヒーは身体を温めてくれて、ちぢかまった感受性の大きさを、元通りに直してくれると思うのです。そこで見る夕焼けは、私たちに何を教えてくれるのでしょうか。
マコ