リコ。白猫のしっぽの先のまん丸を、幾つもつけたような小手毬の花が、もう枯れかかっていました。梅に、杏、桜、それからモッコウバラと藤に小手毬。次には立葵(たちあおい)が咲き出せば、いよいよ初夏という感じ。まるで、ヒラヒラと落ちる紙吹雪が、赤、桃、黄色、次には白と、色彩を替えて舞い落ちるように、道端の景色は移り行くのです。
花を心に留めて暮らしていると、時間の流れに沿って現れる、命の移り代わりが目に付くようになります。それはあたかも、この星の行進(マーチ)のように、一つの目的へ向かって進む荘厳な隊列です。朽ちては咲き、咲いては朽ちる生命の円環の中に、絶え間ない行進曲(マーチ)が流れているのです。私はその曲に耳を澄ませます。すると「命」の声がします。「どこへ行くの」と私は聞きます。すると「命」と答えるのです。
一つひとつの花々は、咲いたり枯れたりしてしまいます。けれども、一つひとつの死を超えて、一続きの大きな潮流がある。その流れの中に、私たちの全ては、かりそめにも、咲いている。そう思うことは、何か優しい大きな手で背中を押されるように、私を強く前へ進ませてくれる大きな力になるのです。
マコ