2017年11月14日

いいえ。これからも。

リコ。リコへ宛てた手紙も、一年が過ぎ、リコの見ることのなかった世界を私がリコに伝えるという目的も、おおかた達成できたのではないかと思っています。この世界は醜いけれど、嫌いにはなれない、そんなことを書いてきたつもりです。私の見解からして、人生とは、人間とは、六十点です。ほとんど半分は点もやれない、けれど半分より少しだけ、いいものをもってる。そういう結論に達したから、もうここで止めてもいいのかも知れないな、と思います。私は手紙を書くことを、止めるでしょうか。

いいえ。これからも。私は書き続けるでしょう。こうして手紙を重ね、幾年も過ぎていく。やがて人間が滅んで、電子機械のインフラストラクチャーだけが残る。そこに誰かが来て、この手紙を解読してくれる。この星には人間という種がいて、それはダメなところもあったけれど、結構面白い生き物だった。そう思ってもらえるかも知れないと考えると、もう少し手紙を書いてもいいのかな、なんて思います。

この世界に眠る、驚きの原石を集めながら。

マコ