短信小説『リコへの手紙』
2017年7月7日
生まれてくる前に見た夕焼け
雨降りのあじさい通り、夏の花火の最後の一玉、金色に光る草原の夕焼け。まるで、生まれてくる前の、その最後の瞬間に見た夕焼けのように私の胸を突く。リコにはそんな風景がありますか。小さい頃、お父さんとお母さんといった山の原っぱで、シロツメクサを摘んで摘んで寝転んだ空に、子羊のような白雲。私たちの共通の記憶が、リコにとってかけがえのないものであったなら、妹はどんなに嬉しいか。
リコ。私は今、泣いています。
マコ
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