2017年7月17日

時の凪

リコ。カラーコーディネイターの勉強は順調です。お店のファサード、内装を見ると、つい色合いが気になってしまい、私ならこうする、と考えるのです。自分が意識したものごとは、日常の中で浮かび上がって見えるものです。花が土から栄養を吸い取るように、私は日常の中から栄養を吸い上げていくのです。なんと素敵なことでしょう。

この前の水曜日、買い物に映画に、あれやこれやと歩き回って、疲れてしまったのか、午後は仮眠をとりました。ちょうど夕の七時前だったでしょうか。ねむの木の花がぽっと咲くように目を開いた私は、夕雲の赤から紫へ、紫から焦げ茶、グレーへ変わっていく様子を、目だけ開いたままずっと追いかけていたのです。小さく開けた網戸からは、山の木陰で冷やされた涼やかな風が、神のお恵みのように吹き込んでいました。

私はこの瞬間を永遠のように感じました。風が吹いているのに「凪」とは変ですが、今は凪の時、いえ時の凪がやってきたように思えたのです。私はこのようなものたちに出会うために生まれ、今、こうしてこの世界のきらめきに対峙している。私は夜ごはんを食べるのも後回しで、この夕闇を見送っていたいと思いました。二十四時間、三百六十五日。私たちはどれだけ、このような瞬間に巡り合うことが出来るでしょう。

マコ