2017年1月25日

冷たくて、暖かな夢

リコ。今日みたいに白色につつまれた朝の風景を眺めていたら、一つの記憶を思い出したのです。あれは私が二十歳になって初めてリコと飲みに行った時のことです。頭がガンガンしてきたなあって思ったけれど、リコとテーブルに向かって酒の肴を囲んでいることが、少し誇らしくもあったのです。「無駄な恋愛はやめなさい。その人が本当に自分に合っているかどうか、じっとこらえて、心に聞いてみるの」たしかリコは、言いましたね。

その後なぜか、二人でカラオケに行って、その日は金曜日だったから朝まで歌い続けたのでした。その後うちへ帰るために、お城のお堀を歩きましたね。お城全体が雪に包まれていて、とっても幻想的でした。体がぐったりしているのに、冷たい空気に、頭はものすごく冴えていた。空は白いだけじゃなくて、七つの色を持つということを、改めて感じるような朝で、雲は低く、遠く、七色に照りながらたなびいていたのです。「冬はつとめて。」私は宮廷の侍女の言葉を思い返していました。お堀にはうっすらと氷が張っていて、鳥たちは辛うじて凍らずに残った水面のあたりに、みんな逃げ込んでいたのです。黒い、古材で出来た太鼓橋を少年達が渡りながら、お堀の氷の上へゆき玉を投げると、雪玉は氷の上でくだけて、氷の上に真っ白い花火がはじけるようでした。

そうやって帰って、順番にシャワーを浴びて、そのあとこたつで寝てしまいましたね。もしも平和というものがあるとしたら、あの朝の風景こそがそれだと思うのです。あの日のことは、いつまでも覚えています。

マコ