2017年1月24日

雪の城

リコ。30センチも積もりました。向こうに伸びる森は一面に雪をかぶって、真っ白な世界です。モミの木に積もる雪で出来た白い塔があちら、こちらに見えます。落葉樹の横へ伸びた黒い枝へかかるのは白い窓。どこまでもつづいていく白い壁、目に見えぬ雪の兵たち。この街が都市と森の間にあることが、今日ほど嬉しいことはありませんでした。すぐ近くにうかがえる森は、雪の城だったのです。もし今日が働く日でないのなら、私は森へ、いってみたでしょう。

白い森の音って、リコは聞いたことがありますか?街の音や動物たちの物音はすべて雪に吸い込まれてしまって、耳の奥にリーンとなる夢で見るような鈴の音がするのです。それに足音。地面は一面に冷たくて、本当を言えば人間を含めた生き物全てを拒絶しているのです。その中に分け入っていく足音の勇敢。吐息の生きている力。そのようなものたちが、夢の中の鈴に合わせて、しんと聞こえてくるのです。

もし、仕事が早く終われば、森の端くらいには言ってみようと思います。モミの木が揺れて、ざざって雪が落ちてくるかも知れない。私はそれを傘で受け止めます。雪の冷たさがつま先へ攻め込んでくると、私はうちへ帰るのです。ぎし、ぎしと人間の立てる音をさせながら、夕闇の中でピンク色に染まっていく雪景色を、歩くのです。

寒いから気をつけて。じゃあ、また。

マコ