2017年12月13日

賢者のレンズを寄せ集める

リコ。ガラスのような大気の結晶が、冬を私たちにささやきかける頃、寒がりの家系の私たちには、一つの辛い季節がやってきた訳です。仕事場から車へ移る時、また車から部屋へ移る時、そうすることはできないのだけれど、なるべく大気と触れあわないようにと思って急ぐ。体の芯に、寒さのくさびが到達する前に、私は先へ急ぐのです。

今日だって、カフェから駐車場まで歩くときはすごく寒かった。そうして十分か二十分か運転して、アパートの駐車場へ来る。そっと覚悟を決めてドアを開けると、なんと、心なしか寒さがぬるんでいるのを感じたのです。

空。空は曇天の灰色。分厚い雲が、空の蓋のようにずっしりと覆いかぶさっていた。さっきまで吹いていた風が止んで、大気は地面と雲との間に閉じ込められ、そこではまるで温室のように、昼のあいだに注がれた太陽のエネルギーが、大気の中に囲いこまれていた訳です。それは、僅かな温かさとなって、私の心をはっとさせました。私は天の作る大きな家の、中にいたのです。

簡単な気象学の知識が、私を天と太陽と、そして地面の広がりに結び付ける。そうして私は、私とこの世界の新しいつながりを見る。気象学、鉱物学、天文学、植物学。昔の賢者たちは、そういう学問を使って、我とこの世界との距離を測った。それはきっと、世界を生まれた時とは違う様相で見せてくれる、魔力をもったレンズだったのでしょう。この世界に隠された宝石を探し求めるために、私はそんなレンズをいくつも集めていきたい。そう、本当にそれが、大事なことなのです。

マコ