リコへ。突然ですがここで一句。
雨傘を かしげてよける 女学生
この街の冬は一歩一歩近づいて、最近ではときどき霙も降るような空模様。今日も冷たい雨がしと、しと、とふっていました。朝、私が車を運転していると、高校生の女の子が、左手には電柱、右手には停車中の車で、立ち往生していたのです。そうして、女の子はそっと傘を電柱も自動車もない空間に傾けて、そこを通り抜けていったのです。その手首のなめらさか、楚々とした感じがとてもよかったので、後で思い出して一句作ってみたのです。
それをトモコさんに言ってみたら、でも季語が雨傘だと、梅雨じゃない?との評語。ああそうか、と私は気づいて冬の歌を作ろうとしてみました。
雨寒し 傘をかしげる 女学生
なんだかこれじゃ、動きがなくてつまらない。じゃあこれは?
寒空に 傘差しあげて 渡る人
なんだか説明しすぎてつまらない。
私はこのあと、三つ、四つの歌をひねってみたのですが、やっぱり最初のが一番いい気がしました。季語はありませんけれど。大昔の貴族たちは、「曲水の宴」(リコは知っているでしょう。庭に配された川のほとりに各々が場所をかまえて、流れてくる盃が自分の前にやってくるまでに歌を詠むという遊び)でこんな風に悩んだのでしょうか。貴族たちの気持ちが、少し分かったような一日でした。
それじゃあ、暖かくして、風邪には気をつけて。
マコ