リコへ。
重大発表です。カフェの春メニューのラインナップを、今年もトモコさんから任されたのです!去年の新メニューが、本当に上手く行ったかどうか分からない。でも、変化し続ける、転がり続けることだけが取り柄の私は、この課題を与えられた時、希望こそ湧いても、決して尻込みする気持ちはありませんでした!
今度のメニューを考えるとき、私は『ペンキや』という絵本のことを思い出します。なんだか、大人に向けて書かれたような絵本です。主人公はペンキやの見習いで、なかなかペンキ塗りが上手にならない、でもある日、お父さんが使っていたペンキのはけ(そう、お父さんもペンキやさんだったのです)を見つける。それをベッドに置いて眠ると、ペンキやのお客の夢を見るのです。そうして、お客が口で注文した色とは違う、ほんとうに塗って欲しい色を教えてくれるような夢を見るのです。それで、ただ小ぎれいに生活したいと思い込んでいた夫人が、本当は自由に羽ばたきたいという夢を抱いていたことを発見する。だからペンキやの見習いは、お客の注文とは違ってベランダを明るい色で塗って、最初は夫人を当惑させますが、最終的には夫人の本当にしたいことを気づかせることになるのです。
私にもそんなはけがあったら。そう思います。みんなが本当に飲みたい飲み物、いいえ、そうではありません、「本当に過ごしたい時間」とは何なのかを教えてくれるはけ、それは何年も使い込まれた「心」そのものだということに、これを読んでいるリコなら、きっと気づいたはずでしょう。
マコより