2017年9月18日

今なすべきこと

リコ。今日は悲しい手紙を書かなくてはなりません。

北の国が、またミサイルを打ちました。雨なら、よかったのに。いつか降るかも知れないのは、高熱の雨。

私たちの国、そして同盟国と言われている国は、この事態をどこまで深く、知っているのでしょうか。本当は相手の出方を全部分かっていて、最近の出来事は全て茶番、非常な事態になることはないと分かっていて、ただ泳がせているだけ。そうならいいんですけれど。

でも全てが計算済みなのか、本当のことは誰も知らないのか、それが分からない。少なくとも私には分かりません。私は最も過敏に案ずる者として、最も早く憂う者として、行動しなければなりません。

リコ。私は戦争の準備を始めます。それは銃をとることではありません。絶望的な事態を予め想定して、そのための「逃げ道」を今から探しておくということです。私は逃げます。この世界に張られた数知れぬ包囲網から、わずかな空間のポケットへ。古い帝国で弾圧された「邪教徒」たちが、隠れこんだ地下の洞窟のように、静かに私の生活を、営める場所へ。

きっと、またね。

マコ

2017年9月12日

華々しすぎるもの

リコ。私の目に一葉の写真、ちょうど色あせた写真のように、なつかしい光景が思い浮かびます。そこは白と桃色の花の咲く花畑。私より大きなリコも、花に埋もれてどこにいるか分からないほどの花の雲。高原の中腹の中に、夢を見つつ眠る雲のようでした。

その中に一つ、他の花よりたくさん花のついているものを私は見つけました。そのころ、いたずらざかりだった私は、珍しいその花を引っこ抜いてしまったのです。お父さんにも、お母さんにも見つからず、抜き取った花をもった私は、花の森の中にいました。そして気がついたのです。その花の花のところばかりが大きくて、茎も葉も弱々しければ、根っこも小さくちぢかまっていたということを。

人間も同じ。頭だけが大きくて、体にも心にも、栄養が生きわたってない人。華々しい成績を上げるために、足元の、自分の立っている地面がどんな様子かを知らない人々。

珈琲は、目的への意識を断ち切り、今、この場所を堪能するように私たちを誘う。この社会には、そのようなものが必要なのです。

マコ